更年期に男性が変化する!?イライラする感情
男性も女性と同じように、性分泌が減少すると「更年期」とよばれる状態になります。
男性の更年期は、主に精巣で作られる「男性ホルモン(テストステロン)」の量が低下し、分泌量が減るため、心身に不調があらわれる様子をいいます。
医学上では「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群))とよばれており、男性が更年期になるのは40代後半ごろからで、最も症状が多くなるのは50~60代。
そして、70代でも更年期の症状を引きずっていると、悪化させてしまうケースもあるので注意が必要です。
この「男性の更年期」はさまざまな障害を引き起こし、その一例が「イライラする」「怒りっぽくなる」という現象ですね。
「年をとって怒りっぽくなった」「最近、イライラしすぎじゃない?」と、周りから気付かれるようになったら、男性も更年期障害を疑った方がいいでしょう。
男性の更年期|なぜイライラするのか?
男性が更年期を迎えるとなぜイライラする原因は、今まで心を安定させる働きをしてきたテストステロンが減少するためです。
まずは、テストステロンの役割を見てみましょう。
テストステロンの3つの役割
■ 性機能を正常に保つ ■ 認知機能を高める
3つ目の「認知機能を高める」という働きは、「判断力や理解力をアップさせて、自信や心の安定を図る」という効果があります。
男性更年期の心の変化
男性が更年期世代になるとテストステロンが減少するため、「判断力や理解力をアップさせて、自信や心の安定を図る」ことが難しくなります。
テストステロン減少による更年期男性の心の変化
■ 不安・うつ症状
■ 集中力・記憶力の低下
このような「今までできていたことができない」といったもどかしい状態(不定愁訴)になると、「どうしていいか分からない」という焦りから、イライラしたりかんしゃくを起こしやすくなるのです。
更年期男性のイライラ・怒りの裏には悲しみの感情がある
男性が更年期世代になるとイライラしやすく怒りっぽくなる理由には、もう一つ裏の感情が隠れています。
テストステロンの低下で精神が不安定になる世代は、家庭や仕事などの環境が変化しやすい時期でもあるからです。
ほかにも、「ツライ」「苦しい」といった感情が沸きやすいのが更年期世代です。
ネガティブな感情は小さな子どもでも感じますが、更年期世代の男性が抱くマイナスな感情は今まで経験してきたスキルや知識、楽しかった思い出、我慢してきた過去、頑張ってきたプライドなど、いろいろな思いから湧き上がる感情です。
その思いが根底にあるからこそ「自分だけ貧乏くじを引いた」「俺だけ苦労している」と感じて、イライラしやすくなり怒りっぽくなるのでしょう。
男性の更年期|イライラ・怒りが沸くのはどんなとき?
更年期男性がイライラ・怒るときはどんなシーン?
■ 家族やペットが言うことを聞かないとき
■ 部下がミスをしたとき
■ テレビの討論で自分と意見が違う人を見たとき
■ 昔のことを急に思い出して、一人でイライラした
■ 行きたい店に行列ができていたとき
更年期男性が、イライラしたり怒るときは「自分の思う通りに物事が進まない」ことが多いようです。
加えて、もともと自分の物差しがきっちりしていて「これはこうあるべき」「こうでなければならない」と考えがちな人は、イライラしたり怒る頻度が増えているかもしれません。
更年期男性のイライラ・怒りが与える変化と影響
更年期男性のイライラ・怒りが与える変化
脳内の変化
怒り感情が喚起されると、私たちの脳内には “ ノルアドレナリン ” という神経伝達物質が分泌されます。
ノルアドレナリンは、危険を察知し、集中力を高める上で役に立ちますが、同時に自律神経の「 交感神経 」 を優位に働かせて、体をいわゆる 「 臨戦態勢 」 にします。
身体の変化
気管が拡張し、呼吸数・心拍数・血流が増加し、血圧が上昇します。
精神面の変化
覚醒や興奮度が増し、同時に不安・恐怖が襲ってきます。
更年期男性のイライラ・怒りが与える影響
【健康】イライラ・怒りの悪影響
■ 高血圧
■ 神経障害性疼痛
■ ホットフラッシュ
■ 過敏性腸症候群
これらの疾患になりやすいといわれています。
人間関係に悪影響
怒りの感情をそのまま出した結果、伝えたいことも伝わらずにトラブルになることがあります。
■ 一度怒り出すと気が済むまで全力で怒ってしまう
■ 他人に当たったり、責めてしまう
■ ドアを叩きつけて出て行ったり、手近にあるものを投げつける
これら「攻撃性のある怒り方」は矛先が親しい人に向きやすく、会社なら直属の部下、家庭では子どもに向かいやすい傾向があります。
いくら親しい間柄でも理不尽に向けられた怒りは、人間関係を壊すきっかけになってしまうでしょう。
イライラ・怒りの感情自体がストレスに
怒り感情を喚起させること自体がストレスとなり、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
怒ったときは興奮して脳が覚醒するので、記憶が鮮明に残ってしまうことがあり、いつまでも怒りを忘れられずに根に持ってしまうこともあるでしょう。
そのため、思い出しては怒りを再燃させてしまうこともありますし、怒りを通り越して、恨みや憎しみに凝り固まってしまうこともあります。
この状態で過ごすとストレスはたまる一方になり、ストレスは男性の更年期障害を加速させるトリガーになってしまうのです。
更年期男性のイライラ・怒りは我慢?発散?
では「怒りを我慢する」ことと「怒りを発散する」のは、どちらが健康的なのでしょうか?
一般的に怒りは抑えることが望ましいとされていますが、怒りの抑圧(我慢)と高血圧の関連が示されているので、怒りを抑えることは健康には良くないと考えられます。
しかし上記で述べた通り、怒りの感情自体がストレスを招いて、心身や精神に負担がかかる場合も多大にあるのです。
ここでさまざまなケースごとに対応方法をみてみましょう。
更年期男性のイライラ・怒り|ケース事例
ケース1:更年期男性のイライラ・怒りは「我慢」!?
大雪や地震の影響などで帰宅途中に電車がストップした!
疲れているから早く帰りたいのに動かない電車にイライラが増大した結果、駅員に「早く電車を動かせ!」と怒鳴ってしまった。
冷静になって考えてみると、駅員にもどうにもならない事態なので、怒った自分が恥ずかしくなり後悔した。
ケース2:更年期男性のイライラ・怒りは「発散」!?
行列に横入りしてきたおばちゃんたちを見かけて注意しようと思ったら、子どもが一緒に居たからか妻に止められた。
「許せない」という感情を引きずっていたので、その後の食事は美味しさを感じられず、久しぶりの外出なのにイライラが止まらなかった。
今でも「あのとき、注意しておけば良かった」と思うことがある。
更年期男性のイライラ・怒りはどうするのが正解?
ケース1の「怒ってもムダ」のように、怒りを発散するデメリットが大きい場合は、イライラ・怒りをコントロールして「我慢」しましょう。
■ この後の行動で最善な方法を考える
のように、怒りの元から考えをそらして、思考をシフトさせるのがいいでしょう。
ケース2の「怒りを引きずっている」ように、怒りを発散できなかった結果の「思い出し怒り」をしてしまう場合は「この瞬間に集中する」方法がおすすめです。
■ 家族の笑顔を堪能する
のように、怒りを上書きできるような思い出作りに集中しましょう。
過去のことにこだわっていると大切な瞬間を見落としがちになるので、嫌な感情を切り離すスピードを上げてください。
更年期男性のイライラ・怒りを和らげるには「亜鉛」
亜鉛は体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役目を持っています。
味覚を正常に保つ働きや免疫力の向上、生殖機能の改善、髪や肌の健康維持などの嬉しい効果がありますが、そのなかでも、注目したい働きが「精神安定や脳の機能を高める効果」です。
神経細胞の刺激伝達がスムーズにいかない更年期は、感情のコントロールや記憶力を保つ「神経伝達物質」が正常に働いていません。
男性が更年期世代になると、脳の機能が低下して神経細胞の刺激伝達がスムーズにいかないために、イライラや怒りの感情が出やすくなっているのです。
この神経伝達物質を作るのに必要なのが「亜鉛」です。
亜鉛が体内に十分にあると、精神安定や脳の機能を高められるので、イライラや怒りの感情を抑制・緩和効果があると考えられています。
男性更年期に効果が期待できる「亜鉛」ランキング ⇒
亜鉛は「うつ状態の緩和」にも効果が期待できる栄養素なので、積極的に摂取したいですね。