男性の更年期障害はテストステロンの減少が原因
適度な運動をして筋肉を刺激すると、テストステロンが作られることが分かっています。
テストステロンとは男性ホルモンの中でメインになる分泌物で、骨や筋肉を作りあげるのに大切な働きをしているものです。
男性の場合、約95%が睾丸(精巣)の中で、残る5%が副腎で合成されており、その分泌量は脳からの命令でコントロールされています。
テストステロンの働き
脳 | 性欲/積極性・活動性を促す |
皮膚 | 毛髪の育成 |
筋肉 | 筋力の維持 |
肝臓 | アルブミンの生成(肝臓病予防) |
腎臓 | エリスロポエチンを刺激する(赤血球を作る) |
男性生殖器 | 精子産生/陰茎の発達 |
血管 | 動脈硬化の予防 |
テストステロンは成長に不可欠なホルモン
テストステロンは胎児のときから生成されており、体の成長に合わせて分泌されるホルモンです。
胎内では外性器形成をして、二次性徴のころになると性衝動の発来と精子形成をします。
そして、成人になるとテストステロンは筋肉の量と強度を発達・保ち、男性の性行動や性機能にも欠かせない役割を持ちます。
さらに、テストステロンは集中力や判断力、コミュニケーション能力などの高次精神機能にも関係してくるため、人間形成に大きく関わるホルモンといえるのです。
テストステロンはたった7mg
成人男性が精巣で1日に分泌するテストステロンは7mg前後といわれていて、血中に分泌されるとテストステロンは11~90分で約半分になってしまうんです。
人間の体内にある血液量は成人男性で体重の約8%といわれているので、体重75kgの人の血液は約6kgと考えていいでしょう。
その中のたった7mgしか、男性ホルモンは存在しないのです。
少量の男性ホルモンの増減で成人男性の心と体は大きくゆらぎ、不調や病気となってあらわれてきます。
男性ホルモンは加齢で分泌量が減る
男性ホルモンは20歳代をピークにして、その後加齢とともに分泌が衰えていきます。
テストステロン値が低くなると性機能障害や認知機能の低下、気分障害、筋肉量の減少、内臓脂肪の増加、メタボリック症候群、貧血や骨密度の減少を生じさせるため、男性のQOLを著しく低下させます。
つまり、いろいろな病気のリスクが高くなり、その前段階で体や心の不調を訴え始めるのです。
その症状を更年期障害といい、最近では「LOH症候群」ともよばれています。
男性の更年期障害をもっと詳しく! ↓
運動習慣をつけて男性の更年期を緩和する
更年期障害を解消するなら下半身の運動!
体のなかで大きな筋肉である下半身の筋肉に刺激を与えると、男性ホルモンの分泌が増えるといわれています。
とくに、太ももやお尻周辺の筋肉を鍛えるとテストステロンが分泌しやすくなるので、スクワットやランニングといった運動を集中してトレーニングするといいでしょう。
【基本】スクワットの方法
2. 両手を肩の位置まで上げ、そのままキープする
3. 股関節から曲げるのを意識し、お尻をゆっくりと下げていく
4. 太ももが床と平行になるまで下げていく
5. ゆっくりと元の姿勢に戻る
【応用】ブルガリアンスクワット
椅子などに片足をあずけて、お尻をゆっくりと下げていくスクワットです。
基本のスクワットより、太ももを刺激します。
このトレーニングは時間があるときに気軽にできますが、「膝を内側に曲げない」「足の間隔は狭く」など、いろいろな注意事項があります。
専用のトレーナーが付いていれば指導してくれますが、自分で注意個所を確認しながら行うのは難しいかもしれません。
その場合は、専用のトレーニング器具を使って足を鍛えましょう。
トレーニング器具は家に置いても邪魔にならないものを選ぶのがポイントです。
今後ずっと使うものなので、置き場所やトレーニングする場所を確認してから購入してください。
長距離のマラソンはテストステロンを下げる
長距離を走るマラソンや複数ターンを繰り返す水泳などは、スタミナはつきますがテストステロンを下げてしまいます。
その理由は、男性ホルモンが筋肉で消費されるためです。
運動で筋肉が刺激されると、大量のテストステロンが分泌されて筋肉に運ばれます。
筋肉細胞にあるアンドロゲン・レセプターにテストステロンが出会うと、細胞分裂を促進して筋肉を増やそうとします。
ここまでは、筋肉を増強するための大切なプロセスなので問題はありませんが、注意しなければいけないことは「筋肉を増やすエサにテストステロンが使われる」ということです。
短時間の運動なら大量のテストステロンが分泌される状態で終わりますが、長時間運動を行うと分泌されたテストステロンはどんどん使われて消えてなくなります。
実際、耐久レースやフルマラソンのような激しい運動をした直後には、テストステロン量がガクッと下がることが確認されています。
更年期の障害である「だるい・興味を持てない・関節が痛い」といった症状が出ている人は、無理に体を動かすと悪い作用が働く恐れがあります。
そういった人は、日常生活の延長で出来る運動がいいでしょう。
短時間、集中して行うなら、専用のトレーニンググッズを利用すると効率的に体が動かせるのでトライしてみてください。