「煮物は難しい」と思われがちですが、味付けの仕組みを覚えると簡単に調理することが出来ます。
料理初心者でも煮物は簡単!原理は同じ
煮物は食材を醤油や砂糖、出汁で味付けをしながら煮込む料理です。
しかし大きく「煮物」といっても、醤油や出汁などの調味料の種類、野菜や肉など食材の種類によって味や色どりが変わってきます。
まずは煮物の種類から見てみましょう
料理初心者にも分かりやすい!煮物の種類
煮しめ
一般的に「煮物」と聞くと、最初に思いつくのが筑前煮でしょう。
その筑前煮の代名詞ともいえる「煮しめ」とは、濃い目の出汁をしっかり食材に染み込ませるために煮込んだ料理です。
濃い味付けは日持ちをよくさせるので、お正月のおせち料理にも使われます。
筑前煮 / がめ煮 / 治部煮
煮込み
煮込みは、食材をじっくり長時間煮込んだ料理です。
肉は柔らかくしっとり仕上がり、野菜はホクホクな食感をかもしだします。
肉じゃが / モツ煮 / 角煮
煮付け
煮付けは、魚を中心に煮る料理です。
煮崩れさせないために少ない量の煮汁で煮込みます。
カレイの煮付け / 金目鯛の煮付け
含め煮
含め煮は、食材の色や味を引き立たせるように薄めの煮汁で煮込む料理です。
高野豆腐の含め煮 / シイタケの煮物
煮浸し
煮浸しは、食材を煮てから冷ますことで味を染み込ませる料理です。
食材を焼いたり揚げたりしてから煮ることが多く、冷めても美味しく感じられます。
ナスの煮浸し / 小松菜の煮浸し
炊き合わせ
炊き合わせは、2種類畳の食材を別々に煮たものを1つに盛り付ける料理です。
味が付くのに時間がかかる食材と煮えすぎて形が崩れるものは、別に調理する方が効率的で美しいのでこの方法が取られるようになりました。
野菜の炊き合わせ / 筍とわかめの炊き合せ
料理初心者でも知っておきたい!出汁の種類
出汁は魚類や野菜などを使ってうま味成分を抽出したものです。
出汁のうま味は、甘味、塩味、酸味、苦味と並んで5大味覚の1つと言われており、今では世界中の共通語「umami」として認識されています。
出汁の種類
鰹出汁
鰹節の薄削りを使ったものは、香り高く澄んだ色になり上品な出汁になり、厚削りを使ったものは鰹節の風味をより味わえるしっかりとした出汁になります。
沸騰したお湯に削った鰹節を入れて出汁を取り、澄まし汁や味噌汁、麺のつけ汁などに用います。
昆布出汁
真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布の4種類が出しに向いている昆布です。
水に昆布を30分程度漬けておき、その後、中火で煮出して沸騰する前に昆布を取り出します。
グルタミン酸が多く含まれているので、イノシン酸が多く含まれている鰹出汁と合わせるとうま味がアップします。
煮干し出汁
カタクチイワシをゆでて干したものを煮干しといい、関西地方では「いりこ」とよばれています。
水に1晩浸しておく方法やお湯を温めながら30分程度煮出す方法がありますが、出汁を取る前に、頭や内臓を取り除いておくと苦みのない上品な出汁に仕上がります。
椎茸出汁
低温でゆっくりと戻すことでより味わい深い出汁が取れるので、干し椎茸を水に1晩浸しておく方法がベストな出汁の取り方です
急いでいるときは、乾いた状態の干し椎茸を細かく砕いてから水に漬けると1時間程度で出汁が摂れます。
うま味成分のグアニル酸が豊富なので、戻した後の椎茸も美味しくいただきましょう。
ほかにも、中国料理では鶏ガラや貝柱などから出汁を取りますし、西洋料理では香草を束にしたブーケガルニやスープに用いるブイヨンなどがあります。
料理初心者でも知ってる「さしすせそ」は順序だった!
料理の「さしすせそ」
学校の家庭科でも習う「さしすせそ」を覚えていますか?
し……塩
す……酢
せ……醤油(せいゆ)
そ……味噌
この言葉は知っていても「さしすせそ」は調味料を入れる順番だということを知らない人もいるでしょう。
砂糖を先に入れて塩はその次、その後に酢や醤油、味噌を入れていくといった順番で味付けをすると良いといわれているのです。
調味料の分子の大きさを考える
調味料の分子のサイズは砂糖が一番大きく、「さしすせそ」の順に徐々に小さくなります。
原料によっては酢の大きさは塩より大きくなりますが、酢は酢酸なのでより仕上げに近い段階で使わないと風味が失われてしまうため、塩の後に使った方がいいとされています。
調味料の分子の大きさを考えるとは、簡単にいうと「塩の分子は砂糖より小さいから、先に食材に入ってしまうと砂糖が入るスペースが無くなる」ということです。
上の図を見てください。
オレンジを食材、水色を塩、ピンクが砂糖だとして、左は先に塩が入り込んでいるから砂糖が入れない状態です。
一方、右は砂糖が入り込んでいても分子が小さい塩は入り込むスペースがあることが分かりますね。
この図の通り味が浸み込んだとすると、左は砂糖が浸透していないので甘さを感じられず、右はしょっぱさも甘みも両方感じられる味付けになっています。
そのため、味付けの順番を「さしすせそ」の順にすると、食材にいろいろな味を浸透させられるのです。
初心者の男性でも簡単に作れる「筑前煮」
基本の筑前煮:材料(2人分)
■ 鶏モモ肉 150g
■ ニンジン 1本
■ ごぼう 80g
■ こんにゃく 80g
■ 干し椎茸 3枚
■ 里いも 100g
基本の筑前煮:調味料(2人分)
■ サラダ油 大さじ1
■ 鰹出汁 1カップ
■ 醤油 大さじ2
■ 砂糖 小さじ2
■ 酒 大さじ1
基本の筑前煮:作り方
1.干し椎茸をカップ1の水に浸して一晩置く
2.干し椎茸を水から取り出して、軸を切る(戻した水は捨てないで!)
3.鶏肉をひと口大に切る
4.ニンジンやゴボウを乱切りにする
5.こんにゃくはスプーンでひと口大にちぎる
6.里芋は皮をむいて乱切り(冷凍の里芋を使ってもOK)
7.深鍋にサラダ油を入れ、鶏肉・椎茸・ニンジン・ごぼう・こんにゃく・里芋を入れて炒める
8.鶏肉の色が変わったら、干し椎茸を戻した水と鰹出汁を加える
9.砂糖を入れて5分後に醤油と酒を加える
10.材料と調味料を全部加え終わったら15分ほど煮る
11.煮終わったら30分ほど放置し、食べる前に温める
B.10の工程で材料に火を通して冷ます過程で材料に味が馴染む
C.すべての調理は弱火で行う!←重要