終活ノート・エンディングノート・遺言書の違い
終活ノート・エンディングノート・遺言書は、それぞれ目的や性質がありますが、そのなかで決定的な違いは、法的効力があるかないかです。
終活ノート・エンディングノート・遺言書の3つは、どれも遺産相続などについて希望を書くことができます。
しかし、遺言書の内容は法的に強制力があり、終活ノートやエンディングノートには法的な強制力はありません。
そのため、終活ノートやエンディングノートに詳細な希望を書いていても、遺言書の形態になっていない文書は、100%希望が叶えられるとはいえません。
そこで、終活ノート・エンディングノート・遺言書の目的や性質を改めて確認しましょう。
終活ノート・エンディングノート・遺言書の目的と性質
終活ノートとは
法的効力 | なし |
目的 | 老後の希望やこれからの生き方を記す |
性質 | 自分のため / 「生」を前提としている |
終活ノートはエンディングノートと混在されがちですが、終活ノートは「生」を前提に書かれるもので、エンディングノートは「死」を前提に書かれるものという違いがあります。
「死ぬまでにしたい100リスト」なども、言い換えれば「終活ノート」です。
■ 介護や老後の住まい
■ 病気や不慮の事故にあった場合の延命措置
終活ノートは、これからの生き方を整理するために書かれるものなので、今後の人生をよりよく生きるきっかけになります。
エンディングノートとは
法的効力 | なし |
目的 | 自分の死後、何をどのようにして欲しいかを家族に託す |
性質 | 家族のため / 「死」を前提としている |
エンディングノートは家族の負担を減らすために書くノートです。
家族に意志表示をしないまま自分が旅立ってしまうと、想像以上の負担となってしまう場合があります。
保険会社はA社・通帳と印鑑はタンスの引き出し・葬儀は家族葬など、事務手続きをスムーズに行うことができるような事柄を記しておきましょう。
■ 保険や口座、株式など相続に関する事柄
■ 葬儀の進行やお墓、参列して欲しい人などの希望
■ 駐車場の契約や定期便など、定期的に費用が発生しているサービス
エンディングノートは「自分がいなくなってから」を想定して書くものなので、「このくらい分かっているだろう」と省力せずに、希望は細かく記しておきましょう。
「終活」葬儀の種類と費用|自分で葬儀を決めると安くなる!? ⇒
「終活」で行う葬儀の準備|3つのメリットと生前に依頼できる会社 ⇒
遺言書とは
法的効力 | あり |
目的 | 自分の死後、財産を処分する方法を記す法的な書類 |
性質 | 家族のため / 「死」を前提としている |
遺言書は、どの財産を誰にどの程度の割合で、相続させる・させないを指定する法的な書類です。
■ 配偶者に家を、子供に現金を相続させたい
■ 不動産や土地、預金の相続分を指定したい
遺言書は作成方法に法律の厳格な定めがあります。
加えて、要件を満たさない事柄だったり、保管の方法などで効力が失われるケースもあるので、不安なら弁護士や行政書士などのプロに依頼したほうが安心でしょう。
終活ノート・エンディングノート・遺言書は1つにまとめていいの?
終活ノート・エンディングノート・遺言書を1つにまとめるのはおすすめしません。
理由は2つ
2.「生」と「死」が混在し、希望の優先度が分かりにくくなるから
1.法的効力が損なわれる恐れがあるから
もともと「終活ノート」と「エンディングノート」には法的効力がありません。
そこに「遺言書」を混ぜてしまうと、遺言書の法的効力も無くなる恐れがあります。
そのため、終活ノート・エンディングノート・遺言書を1つにまとめると、お願いすることはできても、強制させることはできなくなる場合が出てきます。
2.「生」と「死」が混在し、希望の優先度が分かりにくくなるから
「終活ノート」は、これからの生き方を記すのに対し、「エンディングノート」と「遺言書」は自分がいなくなってからのことを書き込むものです。
例えば、終活ノートに「動物保護団体に○○円寄付をする」などと目標や希望を書き込み、エンディングノートには「全財産を娘に残したい」、遺言書には「現金は娘、不動産は息子」などとあった場合、自分が旅立った後の家族は混乱します。
生きているときは「寄付をして保護活動をしたい」と思い、自分がいなくなった後の財産は娘に全部残したい。
しかし、息子にも残さないと体裁が悪い。
といった、本心と現実が混在するノートになってしまいます。
このような理由から「終活ノート」・「エンディングノート」・「遺言書」は1つにまとめないで、それぞれ分けて記した方が、残された家族にとって親切といえるでしょう。
終活ノート・エンディングノート・遺言書を書き終えたら
終活ノート・エンディングノート・遺言書は、それぞれパスワードや通帳の保管場所など重要な情報が満載です。
自己責任のもと、簡単に見つからない場所に厳重に保管しましょう。
ただし、いざという時に見つからない場所にしまっておくのも意味がありません。
信頼できる親族に存在を教えておいてください。
終活ノート・エンディングノート・遺言書は、書いたら終わりというわけではなく、定期的に見直して、心境の変化や身体的変化、資産状況などが変わったときに書き直すことも大切です。
その都度人生を振り返られるので、1年に1回など日付を決めて見直すのもいいですね。