50代から始める「終活」
終活とは
終活とは「人生の終わりのための活動」と一般的にとらえられていますが、50代の終活は「これからをより良く生きるための活動」といっていいでしょう。
つまり、老後や死後を考えたうえで、「こうしておけば良かった」という後悔を無くすための活動が「終活」なのです。
50代が行う終活の内容
これからのライフプランを考える
直近の「これから」を考えることで、お金や家の問題、やりたいことややり残したことが見えてきます。
お金: 財産や年金、保険を見直して、老後の資金が不安なら仕事を継続するなど
家: 住居をバリアフリーに改築、戸建てからマンションへの住み替え、ケアハウスに入る、移住するなど
行動: 資格や経験を活かした社会貢献、やりたい趣味や習いごとなどを整理する
人によって考え方はさまざまなので、自分優先でライフプランを考えてみましょう。
生前整理で思い出を残す
自分が持っている物の価値を知っているのは、所有者である自分なので、自分の物は自分で整理することが大切です。
物を片付けるのは大変な作業ですが、そのままにしておくと残された家族に迷惑が掛かります。
とくに、時間がかかるのが写真や日常使っているアイテムの仕分けです。
衣替えや大掃除のタイミングでもいいので、生前整理を始めましょう。
終末医療について意志を持つ
健康を損なったとき、在宅医療にしたいか病院医療を受けたいか、また病名告知をして欲しいかなど、いろいろな問題が出てきます。
かさねて、終末医療になったら家族に介護して欲しい、ヘルパーさんや訪問看護師さんに任せたいなど、自由が利かなくなった場合の想定も重要です。
もしものときに備えて、家族に意志を伝えておくのを忘れずにしておきましょう。
葬儀やお墓のことを決める
葬儀は多様化しており、それに対応できる葬儀社も増えてきました。
昔ながらの宗教に則った葬儀も素晴らしいですが、宗教にこだわらず自分らしい葬儀を自分でプロデュースするのもステキです。
自分で決める自分の葬儀は、遺影やお花、死に装束、音楽、骨壺などが自分好みに選択でき、金額も低予算から豪華なものまで決められます。
「お墓ではなく散骨し金銭の問題やて欲しい」「樹木葬にして欲しい」など自分の好みを伝えておくと、家族に迷惑が掛からずに自分の最後を飾れるでしょう。
エンディングノートで気持ちを伝える
エンディングノートとは、自分の最後に備えて意志を書き表すノートです。
葬儀や相続に関する希望や、病気で判断能力が失われた後の対応、また、自分自身のあゆみを記録して思い出を家族と共有するなどのパターンが一般的です。
いわゆる「死」を意識した記録簿なので、読んだ人が自分の気持ちを汲みやすいように、具体的でなければなりません。
「家族なら私の好きな色くらいは知っている」といった希望的観測は捨てて、「私は青色が好き」「ひまわりが好きだから庭に植えて欲しい」など、具体的に書きましょう。
遺言で家族への気持ちをあらわす
遺言は「私の死後、財産はこのように分けて欲しい」といった金銭の問題や、あなたを支えてくれた人たちへのメッセージを伝えるものです。
エンディングノートと内容が被ることがありますが、決定的な違いがあり、それは法的効力をもつということです。
相続が「争族」とならないように、トラブルなく円滑な相続を進めるために、遺言書はおおきな効果を発揮します。
終活を行う3つのメリット|私の未来は私が決める!
「これからをより良く生きるための活動」である終活を、「縁起でもない」と嫌う人もいるでしょう。
しかし、自分が遺族になった経験がある人は、終活を進んで行っています。
それは、終活にいろいろなメリットがあることが分かっているから。
そのなかでも以下の3つは、終活を行う重大な理由です。
2.家族の負担が軽くなる
3.経費の軽減が可能になる
1.自分の希望が叶えられる
終活はこれからの生活を見つめ直す行為なので、「今後、どう生きていきたいか」を考えることで、いっそう味わい深い人生を送ることができるようになります。
■ トルコに旅行して写真を撮りたい
■ 猫の保護活動をしたい
など、「今までできなかったこと」にチャレンジするきっかけになるかもしれません。
2.家族の負担が軽くなる
葬儀は短時間で多くのことを決定していかなければなりませんが、自分で「こうして欲しい」という意思を残しておくことで遺族の負担は軽くなります。
終活で生前整理を行っておくと、重要書類の保管場所、参列者のリスト、加入している互助会や保険会社などが明確になり、遺族が故人を想う時間を奪うことがなくなるでしょう。
3.経費の軽減が可能になる
終活を行っておくことで、さまざまな場面の経費を削減することができます。
→ 本当に必要なものだけ購入する
■ 葬儀社から生前見積もりを取る
→ 事前に費用やサービスを比較できる
■ 生前贈与で相続財産を減らす
→ 遺族の相続税を軽減できる
これらは、終活を行う経費面でのメリットです。
さらに、終活で生活を見直すと、費用を抑えながらよりよい生活を送れることに気付くかもしれません。
「終活」で行う葬儀の準備|3つのメリットと生前に依頼できる会社 ⇒
50代から「終活」を始める3つのメリット
2.セカンドライフが考えられる
3.資産の流れを自分で決められる
1.体力・行動力・気力がある
長い人生を考えると「70歳から終活を始める!」なんて人もいますが、実際に自分のプロデュースができる50代が終活を行うベストな年齢です。
終活を行ううえで一番ネックなのが、体力・行動力・気力です。
生前整理で重いものを運ぶには体力が必要ですし、財産管理や終末医療について考えるなら時間と決断・判断力が必要です。
葬儀やお墓を検討するには、パンフレットを取り寄せたり、実際に出向いてみるための行動力が不可欠でしょう。
これら全体のことを行うには、気力が肝心なのです。
50代は、若いときに無かったスキルや知恵、人脈を持っており、これから衰えるであろう記憶力や判断力、体力があります。
そのため、50代が終活を行うベストな年齢といえるのです。
2.セカンドライフが考えられる
現役で働いている世代の50代は、セカンドライフを考え、準備するのに最適な年齢です。
定年退職をしてから「残りの生活」を考えたり、シニアになってから「楽しめる趣味」を見つけるのは難しいものです。
さらに、50代である今のうちから、老後のための貯蓄確認や財産整理などをしておくことで、老後に余裕を持たせることができます。
リタイアしてから「もっと前から準備しておけば良かった」と後悔しても遅いので、50代から老後の生活を思い描いておきましょう。
3.資産の流れを自分で決められる
「自分が持っている資産を誰にどう残すのか」という希望を前もって決めておくと、大事な家族関係を守ることができます。
働いているうちは給与報酬がありますが、リタイア後には年金や持っている資産で生活をしていくことになります。
その資産とは、家などの固定資産や株式、貴金属、美術工芸品、ゴルフ会員権などがありますが、自分の死後は遺族へ託すことになるでしょう。
その資産の流れを明確にしておかないと、遺品整理の際に自分の意に沿わない人に大切なものが渡ったり、家族がもめる原因になったりもします。
そうならないように、資産の流れは決断力や判断力がある50代で決めておくのが良い選択なのです。