とても重い更年期障害は、医師の診断を受けることが解消の早道になるでしょう。
女性の更年期障害の症状を一刻も早く解消したい
女性が更年期に入ると、体や心にいろいろな不調があらわれます。
その症状は「最近疲れやすくなったな」「時々、腰が重い」といった程度から、「とてもツライ」「すぐにでも解消したい」といった重いものまで、いろいろな発症度合いがあるでしょう。
私は、軽い症状でも一度病院で診てもらうことをおすすめします。
実は「この程度なら病院へ行くことはない」と思っていても、別の病気が原因の症状であることも少なくないんです。
物忘れの症状が認知症の初期段階だったり、うつ症状の原因がうつ病だったり、生理不順が子宮の病気の症状だったりということがあるので、気になる症状があれば医師に相談してください。
とくに「この症状を一刻も早く解消したい」という状態なら、早く診察を受けるべきです。
女性の更年期障害は何科を受診する?
一般的に女性が更年期障害に症状で病院に行くなら婦人科を受診しますが、そのほかにも女性外来や更年期外来などがあるので、その違いを紹介します。
□ 女性外来
□ 更年期外来
婦人科とは
婦人科は、女性の持っている悩みをオールカバーしている科です。
👉 妊娠に関する事項
👉 子宮筋腫などの子宮の悩み
👉 性感染症
👉 更年期障害
など、思春期から老年期までの女性特有の症状や病気を診察しています。
女性外来とは
女性外来とは「レディース外来」や「婦人クリニック」と謳う病院もありますが、多くの場合は「婦人科診療+心理的悩み」が相談できる場所と考えていいでしょう。
女性の病気には心の問題が関わってくることがあり、同じ病気でも病状が異なることもあるので、診察には「話をじっくり聞く」ことが含まれているのが女性外来の特徴です。
診察には時間を要するため、予約が必要となっている病院が多いでしょう。
また、保険診療では赤字になってしまうので、自費診療を導入している病院も多くなっています。
しかし診療内容は濃く、月経の悩みから骨粗しょう症など中高年以降の健康障害、うつなどの精神疾患、子育てや家庭内暴力などの環境問題も相談できます。
更年期外来とは
更年期外来とは、その名の通り更年期障害の症状を専門に診てくれる科です。
更年期障害の大きな原因は女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌減少ですが、そこにさまざまな要因が絡み合って発症しています。
■ 性格などの心理的原因
■ 職場や家庭などの人間関係
■ 地域の環境問題 など
それらが複合的に関与している更年期障害の症状は「単純な治療だけでは足りない」と、考えられて更年期外来が作られました。
そのため、更年期に発症するあらゆる状態を総合的に診察してくれます。
女性の更年期症状を見分ける診断方法
女性が更年期に引き起こりやすい症状
■ 記憶力の低下
■ 寝つきが悪い / 不眠
■ イライラ / うつ症状
■ 疲れやすい / だるさが抜けない
■ 頭痛 / めまい / 耳鳴り
■ 動悸 / 息切れ
■ 食欲不振 / 吐き気
これらの症状は女性の更年期時期(約45~55歳)によくみられますが、全部が更年期障害とは言い切れません。
まずは、ほかの病気が原因でないことを確認する必要があります。
ほかの病気が隠れている症状
症状 | 更年期障害以外の要因 |
ホットフラッシュ・発汗 | バセドー病や橋本病などの甲状腺の病気 |
記憶力の低下 | 認知症 |
イライラ / うつ症状 | うつ病などの心の病気 |
動悸 / 息切れ | 狭心症や不整脈などの心臓の病気、鉄欠乏性貧血 |
食欲不振 / 吐き気 | 胃かいよう、胃がんなど |
女性の更年期はエストロゲン値をチェック
女性が更年期に入って不調を感じたとき、これが更年期障害かを判断する手掛かりが「ホルモン検査」です。
更年期に入って卵巣機能が低下し閉経が近づくと、卵巣からのエストロゲンの分泌が減少します。
すると、体は卵巣の活動を促そうとして、脳の視床下部から卵胞刺激ホルモンを大量に分泌するです。
つまり、更年期には2つのホルモン変化が起こるということですね。
2.卵胞刺激ホルモンの値が高くなる 【 40mIU/ml以上 】
この2つの数値が同時にでると更年期となり、症状は「更年期障害の可能性が高い」と判断されます。
女性の更年期障害の症状は3つに分けられる
2.その他のさまざまな身体症状
3.精神症状
1.血管の拡張と放熱に関係する症状
□ 発汗/寝汗
□ むくみ など
2.その他のさまざまな身体症状
□ めまい/頭痛
□ 関節痛/肩こり
□ 冷え
□ しびれ
□ 疲れやすい など
3.精神症状
□ 不安/疎外感
□ 情緒不安定
□ 不眠 など
女性の更年期障害の病院での治療法
👉 漢方
👉 向精神薬
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)とは、その名の通り減少した分のホルモンを補う治療法です。
この治療法は主に、ホットフラッシュや発汗などの「1. 血管の拡張と放熱に関係する症状」に有効とされていますが、そのほかの症状にも効果が確認されています。
飲み薬や貼り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあるので、医師と相談しながら使いやすい方法を選んでください。
漢方薬
いろいろな生薬を組み合わせる漢方薬は、心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持っています。
西洋薬に比べると漢方薬はマイルドに効くイメージがありますが、飲んですぐに効果があらわれる場合もあります。
しかし漢方薬は「薬」なので、副作用が出る場合がありますし、持病のある人や別の薬を飲んでいる人は服用を避けるように指示されることもあるので注意が必要です。
向精神薬
イライラや不安、疎外感、不眠などの更年期障害の症状には、向精神薬を用いて治療をしていきます。
その場合は、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬や、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの新規抗うつ薬が使われるでしょう。
最近は、副作用が少ない薬もあるので、医師と相談しながら自分の体に合ったものを選んでください。